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【2013年12月26日】アイザック・アシモフ氏と小人たち |
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アイザック・アシモフ氏と小人たち |
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私は過去、いろいろな作家の方にもお会いしたんですけれど、その中に366冊くらいSF小説を書いたアイザック・アシモフさんという方がいました。ほとんどのアメリカの学生たちは彼の小説を読んでいましたね。
当時、彼が私のニューヨークの自宅にいらして、二人で対談している時に「神を信じたり永遠の生命を信じられる人を本当にうらやましく思います。」と、言われたんですね。その時、私は「クリスマス・キャロル」を書いた作家のディケンズのことを思い出しました。ディケンズは、夢の中で小人たちがいろいろ話してくれることを小説に書いたということをアシモフさんにお話ししたら、飛び上がらんばかりに驚いて「私にとって、夢の中の出来事ではなくて、タイプライターの前に小人たちが5、6人出てきて、チャカチャカといろんなお話をしてくれる。それを私は、タイプライターで打つことによって、あれだけたくさんの作品を書いたんです。」とおっしゃるんですね。私は、「それこそが、心の中、科学的に証明できるものではない心の存在であり、すごい体験なのですよ。」と伝えたら、自分では当然のことのように思っていて、それまで人には話さなかったそうです。
「そんな中で書けないこともあったのでしょう?」と言いましたら、ある時、出版社からこんなテーマで書いてくれって言われ、小切手まで渡してもらったそうです。自分ではそんなもの書きたくないなと思ってタイプライターの前に座ったけど、いっこうに小人たちは出てきてくれず一行も書けなかった。そこで、出版社に行って「このお金は返します。私はこのテーマでは書けません。」と言ったところ「じゃあ自分の選んだテーマで書いてください。そして、その原稿料としてこれをお使いください。」と言われたそうです。
アシモフさんが「実は心臓手術をすることになって病院で手術室に運ばれようとしている時に、娘と妻が心配そうに私を見つめていました。私は神の存在とか永遠の生命とか信じることができたらいいなと思ったのです。」と真顔で仰っていました。私はその時「それこそ、あなたが永遠の生命を生きているということを今は信じられるんじゃないですか?」と申し上げたという非常に鮮烈な思い出が蘇ってきます。 |
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